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(長崎県)高温耐性がある水稲早生品種「なつほのか」の導入・産地化に向けた取組  2019-02-07

●長崎県県北振興局農林部南部地域普及課   

 
(長崎県)現地事例情報
 
1.事例場所の概要
 長崎県県北地域は、中山間地や多くの離島・半島からなり、耕地面積は長崎県の約4分の1を占め、水田の割合が53%と県平均46%より高い。
 農業は、水稲に肉用牛、みかん、野菜、花き、茶、葉たばこを組み合わせた複合経営が多い。
 
2.活動対象及び概要
 長崎県県北地域水稲生産者を対象とした。水稲部会等生産者組織は少ないが、ながさき西海農協水稲部会、研究会等がある地区で、品種や栽培方法の統一、水稲の生産安定・向上に取り組まれている。
 
3.背景・指導・ねらい
 県北地域の水稲主力品種「ヒノヒカリ」は、近年の地球温暖化の影響で、高温年に品質低下(高温障害による登熟不良)が見られており、高温耐性品種「にこまる」「つや姫」を作付推進してきた。
 「にこまる」の作付面積は緩やかな増加傾向であるが、晩生品種であるため、標高が高い地区では秋冷えによる登熟の遅れ、品質低下が問題になっている。
 また、「つや姫」は、特別栽培に限定されているため、新規産地化が難しく、既存産地において作付面積が維持されている。
 そこで、早生品種で高温耐性がある水稲新品種「なつほのか」の導入・産地化に取り組んだ。
 
4.具体的データ
(1)情報の内容・方法・特徴
 平成26~27年度に、県北地域各地区で「なつほのか」の展示圃を設置・調査・検討し、県北地域における現地適応性を確認した。平成28~29年度に、県北地域における栽培特性を確認し、展示圃調査結果に基づく「なつほのか」栽培基準作成に向けて検討した。。
 平成27~29年度に、農協、市町、全農ながさき、県農産園芸課、農林技術開発センター等関係機関と連携し、県北地域における「なつほのか」推進方策(推進スケジュール、推進地区、推進方法等)を作成し、取り組んだ。推進地区選定に当たって、県北地域独自の「県北地域高温耐性品種推進マップ」を活用し、推進地区の「見える化」を図った。
 平成28~29年度に、各推進地区で、展示圃設置・現地検討、栽培講習、米試食等を行い、産地化に向けて支援した。平成29年度に、平成30年度からの新たな推進地区を検討した。
 平成27~29年度に、平成30年度からの本格生産を目指し、米卸を含む関係機関で「なつほのか」立毛検討・室内検討を行った。
 
(2)成果
 平成30年度「なつほのか」作付面積(見込)が、約60haとなった。
 平成30年産「なつほのか」について、原則的にJA米、1等調製とし、農協、全農を経由して米卸に販売することになった。
 水稲生産組織がなかった推進地区で、「なつほのか」栽培研究会設立を進めることになった。
 平成31年度以降の「なつほのか」作付面積拡大・産地化を目指し、平成30年度からの新たな推進地区の選定、平成30年度展示圃設置計画について、関係機関、地区と調整できた。
 展示圃調査結果と試験研究成果情報に基づき、「なつほのか」栽培基準を作成した。
 肥料試験の調査結果から、野菜後水田における「なつほのか」の適正な肥培管理に関する知見が得られた。
 
(3)普及活動上の留意点
 本格的生産となる平成30年産「なつほのか」の極良食味、高品質、高単収を実現するため、各推進地区で栽培技術の徹底を指導する必要がある。
 平成31年度以降の「なつほのか」作付面積拡大・産地化を目指し、平成30年度からの推進地区の取組を支援する必要がある。
 水稲高温耐性品種「なつほのか」は、早生品種であり、加工用たまねぎ等多様な品目との組合せが可能である。普及指導員を含む関係機関の野菜、花き等担当者と連携し、露地園芸品目も振興し、水田の高度利用を図る必要がある。
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