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ヒートポンプを利用した夏季夜間冷房による切り花(バラ)品質の向上  2014-02-13

●山口県農林総合技術センター 住居丈嗣  

 
背景と概要(要約)
 山口県内のバラ切り花生産は周年収穫作型が主流であり、夏季には栽培温室の換気を常時行い、日中は遮光することで施設内の気温上昇を防いでいる。しかし、この時期の気温はバラ生産の好適温度よりも高く、切り花品質を低下させる要因となっているため、温室内の冷却による昇温抑制対策が求められている。一方、冬季の暖房経費削減を図るため急速に普及したヒートポンプは、冷房運転も可能なことから夏季の冷房としての利用が期待されている。
 そこで、夏季夜間冷房がバラ切り花品質に及ぼす効果について調査したところ、ヒートポンプを利用して夜間冷房(20℃)をすることで、切り花長および花蕾長が長くなり品質が向上する、また、夜間冷房による品質向上の効果は夜間冷房開始後に伸長し、採花したシュートのみで得られることが明らかとなった。
症状
 他の時期よりも切り花品質(切り花長、花蕾長(花の大きさ))が低下する。
原因
 高温での花芽分化促進による開花時の葉節数の減少、呼吸による同化養分の消耗の激化によるものと考えられる。
対策
 床面積200㎡のガラス温室に空気熱源式ヒートポンプ4馬力(冷房定格能力10.0kW)を2台設置し、ヒートポンプを外気の最低気温が20℃を上回る期間を、設定温度20℃で日の入から日の出まで(9.5時間から12時間、時期により時間変更)稼働すると、外気温が25℃程度の場合は、設定温度まで低下するのに1~2時間程度かかり、その後、気温は設定温度付近で推移する(図1)
 
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図1 夜間冷房時の気温の推移
注) 測定期間:2012年8月13日18時から16日12時まで、設定温度:20℃、運転時間:日の入から日の出まで

 
 その結果、7~9月の月平均気温は、無処理(冷房なし)温室よりも2.1~2.8℃低下する(表1)。なお、上記条件における6月30日から9月21日までの消費電力量は、2,965kWhである。
 
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 20℃の夜間冷房期間中に伸長し、採花したシュートでは、冷房しない条件下で栽培したものよりも切り花長および花蕾長が長くなり品質が向上する(図2)
 
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 夜間冷房による品質向上の効果を得るためには、3~4週間の夜間冷房期間が必要であり(表2)、また、夜間冷房による品質向上の効果は夜間冷房期間中に伸長し、採花したシュートのみで得られる(表3、図3)
 
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(図表はクリックで拡大します)
参考資料
農業技術大系花卉編7、p313
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