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ニガウリによる緑のカーテンを用いた牛舎暑熱対策  2014-01-27

●香川県畜産試験場 酪農・肉牛担当 土佐 進  

 
背景と概要
 建物の窓や壁面の日除けとして近年広く普及しているニガウリによる緑のカーテンを牛舎に設置し、緑のカーテン内外の温度変化を測定したところ、外側に対して内側で最大で約5℃も低くなるという結果が得られた。
 また緑のカーテンを設置したことで得られる大量のニガウリの実を乳牛に飼料として与えたところ、体重、乳量、乳成分、血液性状のいずれにおいても影響は認められなかった。
 これらのことから、牛舎にニガウリによる緑のカーテンを設置することで牛舎の暑熱対策効果に期待でき、収穫できる実は飼料として有効利用できることがわかった。
症状および原因
 近年地球温暖化により気温が年々上昇傾向にある。特に夏季の平均気温の上昇は顕著である。一方で、牛、特に乳牛は暑熱に弱く、暑熱ストレスにより飼料摂取量は低下し、乳量や乳質、繁殖成績の低下が生じる。これら生産性の低下は畜産農家の経営面を圧迫するため夏季の暑熱ストレス対策は極めて重要となる。
 この方法として主に換気や遮光、扇風機や細霧装置による牛体を冷やすといった手法が取り入れられている。 
対策および具体的データ
 ニガウリはツル性植物で、最近では建物の窓や壁面を覆った「緑のカーテン」として広く普及している。また生産性が高く容易に大量の実が収穫でき、抗酸化作用のあるビタミンCを多く含有していることから、人の夏バテ対策として注目されている。
 ニガウリによる緑のカーテン及び日除けとして一般的に利用されているすだれを牛舎に設置し、それぞれ外側および内側の温度を測定した。結果は緑のカーテンは外側に比べて内側で最大で約5℃も低かったのに対し、すだれでは約2℃だった(図1、図2)。このことから、牛舎の日除け対策としてのニガウリによる緑のカーテンの設置は、舎内温度の低下に有効であることが確認できた。
 
 
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図1 緑のカーテン内外の温度変化
 
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図2 すだれ内外の温度変化
 
 また、ニガウリの実を飼料として利用することについて検討したところ、給与区(1kg/日)と対照区の間に体重、乳量、乳成分において影響は認められなかった(表1)。血液性状においては、コレステロールが対照区に対し試験区で有意に低かったが、両区とも正常範囲内だった(表2)。その他の血液性状も正常範囲内であった。これらのことから、牛の健康状態に異常はないものと考えられ、ニガウリの実の飼料としての利用は可能であると判断される。
 
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参考資料
田中ら 2007 泌乳牛の血漿中アスコルビン酸、SH基、酸化脂質濃度に及ぼす高温環境の影響 Animal Science Journal 78(3),301-306,2007
田中ら 2008 夏季高温環境下の初産牛における血漿中SH基、アスコルビン酸濃度と泌乳生産性 Animal Science Journal 79(4),481-486,2008
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