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切花の高温対策について  2012-04-16

 
 デルフィニュームやマーガレット等切花は夏季の高温(温暖化)により生育不良や収穫遅延により、生産量の減少や品質低下等農家所得の低下を招いています。技術対策についてアドバイス願います。
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  2012-04-16

 
●マーガレット
 切り花用マーガレットの生産性の低下は温暖化と思われる夏季の高温により近年顕著に現れています。
 マーガレットの原産地は、大西洋のカナリア諸島とマデイラ諸島という比較的温暖で夏もそれほど暑くない地帯です。マーガレットは17世紀末にヨーロッパに伝わり品種改良されたものが江戸時代末期から明治初頭に日本に導入されていますが、切り花用の主力品種については日本に導入された‘在来白’がそのまま大正時代以降に各産地に伝わり、栄養繁殖により栽培が継続されています。この‘在来白’は3倍体であるため種子ができにくい性質が強いため、品種改良が非常に困難です。このことが、近年の温暖化に対応できずに生産性を低下させている一因と考えられます。
 
 マーガレットの性質として、30℃以上の高温に長期間置かれると、開花遅延や花芽の座止(ブラスチング)さらには枯死を引き起こしやすい性質があります。低温に対しては、0℃以下の低温が続くと凍害を受けやすいことが知られています。また湿度にも弱く、長雨の続く時期に露地栽培を行うと湿害やサビ病等が発生しやすくなります。
 
 近年の大きな問題としては、夏季の高温により生育不良が引き起こされています。技術的対応策としては次のようなことが考えられます。
 
1.現在の品種を用いる場合
(1)栽培施設の遮光
 定植直後からハウスの遮光を行い直射日光を避けて植物体の温度を低下させることが考えられます。生産現場で見る限りでは、遮光資材としては黒のカンレイシャよりも、灰色やシルバー系のものの方が、施設内は明るく感じます。しかし、9月中旬以降まで遮光を継続した場合には低照度による開花遅延の恐れもありますので、注意する必要があります。
 
(2)病害虫防除の徹底
 近年、高温性の病害虫の発生が多発しています。スリップス、ウスモンミドリカスミガメなど生長点に被害を及ぼしやすいタイプの害虫防除を徹底する。近年は花き類登録の薬剤も増加していますので、薬剤成分に注意して適切に散布することが必要です。また、土壌混和する粒剤なども有効に利用できると思いますので、指導機関にご相談ください。
 
2.適正な品種を選ぶ場合
 海外で育成された品種では、高温に対する耐性が弱く、開花遅延しやすい品種が大部分です。このため品種を選定する条件としては比較的規模のある切り花産地で育成され生産者の栽培実績がある品種を選定する必要があります。現在、マーガレットの切り花産地は香川県と静岡県の2県でほぼ国内生産量の95%以上を占めていると推定されます。静岡県では切り花用品種の開発を進め、既存品種との切り替えをすすめています。
 今のところは他県での栽培実績がないため、静岡県以外での栽培特性は不明ですが、少なくとも‘在来白’より耐暑性や高温開花性が高く、ブラスチングの発生も少ないものと考えられます。品種の利用について、各産地で協議されてみることが必要だと思います。
 
●デルフィニウム
 現在、国内でおもに生産されているデルフィニウムには、エラータム系・ベラドンナ系・シネンシス系の三つの系統があります。デルフィニウムはトリカブト属やオダマキ属と同じキンポウゲ科に属し、原種は約300種以上に及ぶと言われています。原産地は西アジア、南ヨーロッパ、北米などの比較的冷涼な気象条件の地域となり、日本の夏期の高温では夏越しが困難な理由の1つと考えられます。
 
 デルフィニウムの花芽分化は、高温(最高・最低気温25・15℃以上)と長日によって促進され、抽だい時にはすでに花芽分化が開始されています。花芽分化のできない幼若期は本葉3~4枚までですが、育苗温度を下げることによって夏期でも抽だい(花芽分化)を人為的に抑制することが可能となっています。
 秋冬出しに向けて夏期に育苗・定植を行うと、高温・長日によって花芽分化が過度に促進され、背丈が低いまま数輪しか小花をつけない早期抽だいが発生します。育苗温度が高すぎると、育苗中や定植後に早期に抽だいさせてしまうことがあるので、早期抽だいを回避するため、冷房育苗や夜冷育苗などにより夜温は15℃程度で管理します。本葉8~9枚まで花芽分化を抑えてから抽だいさせるとボリュームある切り花が得られるようです。そのため、育苗が高温期となる夏場の9~11月切りを目指した栽培では、夜冷育苗は有効です。主に種子系のエラータム系品種で行なわれています。冷熱源としては、電気によるクーラーだけでなく地下水や雪を使った事例もあります。
 
 定植後の問題点としては夏枯れ、短茎開花、花とびの防止など挙げられます。夏枯れの原因は、高気温、高地温、土壌の乾燥、病害などです。その対策としては、気温および地温の昇温を抑制させることが重要となってきます。施設の改良(腰高ハウス、天窓の設置)、マルチよる地温抑制や遮光処理や細霧冷房などにより昼間の温度を下げることが必要と思われます。
 しかし、花の品質に影響が出る可能性もあり、栽培に当たっては注意が必要です。また、土壌を必要以上に乾燥させすぎることにより株にダメージを与えたりするので、適正な灌水方法をとることが重要となってきます。
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