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地球温暖化の科学的な根拠 -観測と研究の歴史-【2】  2014-05-19

●NPO法人シティ・ウォッチ・スクエア理事長 林 陽生  

 
(1)気温変動の実態
 このシリーズでは、地球規模の気温上昇を示す科学的な根拠がどのようにして得られたか、その経緯について解説する。
 
 はじめに、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書(2007)に掲載されている気温変動の様相をに示す。
 

(クリックで拡大します)
 
 さまざまな曲線が求められているが、おおむね1900年以降は大きな違いはなく、これ以前はバラツキが大きい。最新の第5次評価報告書(2013)では、世界平均地上気温が長期的な傾向(1880~2012年)として0.85℃上昇したこと、最近30年間における10年ごとの上昇規模は、1850年以降のどの10年間よりも大きな規模であるが示されている。
 
 こうした曲線の根拠はどのようにして求められたのだろうか。統計に使われた気象観測ステーションが市街地にある場合には、過去から現在までに起こったと思われる土地利用変化、すなわち都市化によるヒートアイランドの顕在化の影響があるはずだ。また、そもそも観測方法(観測時刻も含む)は同じでなければ平均値に意味がないことになる。さらに、地球表面の約70%を占める海洋上の気温はどのように取り扱われているのか。そもそも空間的な平均はどのようにして求めるのか。誰もが思う疑問だ。
 
 改めてを見てみよう。曲線は、1960年ころ以降はほぼ一致し、地球の平均気温は急激に上昇している。1960年ころを中心に、気温がいったん低下している(大気中の二酸化炭素濃度は上昇していたはずなのに、なぜ気温が低下したのか、の問題は後に触れる)。これらの特徴は、確固たる物理的な要因によって引き起こされているはずで、その過程を解明することが地球環境の将来予測に役立つ。その、もっとも基盤となる地球規模の平均気温はいったいどんな方法で求めたのだろう。
 
 次回は、地球規模の平均気温の重要性が注目された始めた20世紀中頃の研究・観測を振り返ってみる。
 
参考資料
IPCC: Climate change 2007 – The physical science basis. Cambridge Univ. Press, 996p. (2007)


 
 
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