人間活動による大気中の温室効果ガス濃度の上昇が温暖化の要因であることは、Arrhenius (1896)やCallendar (1938)が論じた。アレニウスは、ノーベル賞の創設にも関わったスウェーデンの大物物理化学者であった(写真)。彼は、晩年に二酸化炭素の温室効果への寄与を初めて定量的に明らかにし、この寄与が長期の気候に影響することを示唆した。ただし、現在において化石燃料燃焼が大気中の二酸化炭素濃度上昇の主因であることはよく知られているが、この論文では、そうした因果関係については議論されなかった。この研究の約40年後、カレンダーは、半世紀を通し燃料燃焼で大気中の二酸化炭素量が15百億t増加し、これが年0.003℃の割合で気温上昇を引き起こしたことを演繹的に明らかにした。同時に世界中の200地点の観測値を使い、実際に年0.005℃の割合で温暖化したことを示し、気温上昇の大部分が温室効果によるものとした。   参考資料 Arrhenius, S.: On the influence of carbonic acid in the air upon the temperature of the groud. P.M. and J.S., Ser.5, 41, 237-276, 1898 Callendar, G.S.: The artifical production of carbon dioxide and its influence on temperature. Q.J.R.M.S., 64, 223-240, 1938 Folland, C.K. D.E. Parker and F.E. Kates: Worldwide marine temperature-fluctuations 1856-1981. Nature, 310, 670-673, 1984 アレニウスの肖像の引用先 wikipedia