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(平成28年度実証調査・宮崎県)茶のクワシロカイガラムシ防除のための散水時期決定マニュアルの作成(要約版)    2017-09-28

 
平成28年度気候変動適応産地づくり支援事業報告書から、宮崎県の実証報告(要約版)をご紹介します。
 
クワシロカイガラムシの温度計測によるふ化最盛期予測の検証及び散水防除の実証
●調査のねらい
 クワシロカイガラムシは、茶樹の枝や幹など樹冠内部に寄生し、樹勢の低下を招く。その防除は、幼虫のふ化最盛期の薬剤散布が効果的であるが、近年、地球温暖化等の気候変動により、茶のクワシロカイガラムシ発生時期が変動し、防除のタイミングを見極めるのが難しくなってきており、それに対応した防除対策等の導入が求められている。
 そこで、茶園ごとに温度を計測し、有効積算温度を地域ごと、時期ごとに把握することにより、クワシロカイガラムシ防除に効果的な防除適期の特定について検証するとともに、散水による防除効果を検討し、防除適期の把握と効果的な防除に資する。
 
●調査結果
 クワシロカイガラムシ第三世代について、茶園での温度の計測とアメダス地点の温度により有効積算温度を算出してふ化最盛日を推定し、実測日との比較を行った。その結果、久保田(2000 年)および内村ら(2006 年)の両方法とも予測方法として適合性が高かった。
 第四世代について、茶園での実測日との比較はできなかったが、都城地域の茶園においても発生している可能性が示唆された。
 散水によりクワシロカイガラムシの防除を実証したが、散水を実施しなかった場合と比較して、防除効果は判然としなかった。しかし、散水により樹冠内部の湿度が高湿度に確保されることを確認し、ふ化率を低下させる効果は十分に有していたと考えられる。
 温度の計測やアメダス等による温度データを活用して、第一世代は武田(2001年)、第二世代以降は内村ら(2006 年)の方法を利用することにより、クワシロカイガラムシのふ化最盛日を予測することが可能である。また、この予測日を元に散水防除の時期を決定することが可能である。
 
●今後の課題
・畑地かんがいを活用した散水防除の普及
・ふ化最盛予測日の制度の向上と予測時期の早進化
・より標高の高い茶園におけるふ化最盛日予測の検証
 
 
※実証調査の詳細は、以下からご覧になれます
『平成28年度気候変動適応産地づくり支援事業報告書 地球温暖化適応技術の確立と普及を目指して~ 茶のクワシロカイガラムシ防除のための散水時期決定マニュアルの作成~』より)
 
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