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(愛媛県)温暖化に対応した全国初のブラッドオレンジ(タロッコ、モロ)産地の確立  2018-01-17

●愛媛県 南予地方局産業振興課産地育成室果樹係  

 
(愛媛県)現地事例情報

1.事例場所の概要
 宇和島市の気候は、年平均気温17.1℃、年間降水量約1,600mmと温暖多雨であり、ブラッドオレンジを栽培する上で最適な気候となっている。しかし、以前は最低気温も-3℃以下に下がるため、果実の凍害が発生し、ブラッドオレンジの栽培は困難であった。近年の温暖化の影響により、ここ30年で平均気温が1℃上昇し、冬季の極温の影響が少なくなったため、ようやくブラッドオレンジの栽培が可能となった。
 また宇和島市は宇和海に面しており、入り江の多いリアス式海岸沿いに産地が形成されており、ブラッドオレンジを栽培する上で、海からの照り返し等の良好な日照量が期待でき、高品質な果実が生産できる条件となっている。
 
2.活動対象及び概要
 平成20年に「えひめ南ブラッドオレンジ栽培部会」を、平成21年に「加工研究協議会」を立ち上げ、ブラッドオレンジの栽培・貯蔵、加工技術、消費者へのPR活動に中心的に取り組んだ。また、「加工研究協議会」が加工技術を利用して加工品を作出した。
 
3.背景・指導・ねらい
 ブラッドオレンジは、イタリア原産の柑橘・タロッコ、モロなど果皮、果肉が赤い品種の総称である。タロッコは、熟期は3~4月で、モロと比べて大玉で糖度も高く、生食・ジュース用として適しており、モロは熟期が2~3月で、タロッコと比べて赤味が強く、糖低・酸高傾向であるため加工品としての利用が大きい品種である。国内では両品種とも、まとまって栽培する産地はない状態であった。
 愛媛県内には昭和40年代に試験的に導入されたが、冬季の寒害の影響があり、一部の温暖な地域で栽培されるに留まっていた。しかし、宇和島市はここ30年間で平均気温が1℃上昇し、特に冬季の寒害の恐れがほとんどなくなってきたため、平成15年頃から取り組む農家が増加した。そこで全国初のブラッドオレンジの産地化を目指し、平成21年5月に「えひめ南ブラッドオレンジ栽培部会」(以下、栽培部会)が結成された。
 
4.具体的データ
(1)情報の内容・方法・特徴
 栽培部会、県の関係機関が連携し、ブラッドオレンジの安定高品質生産について、実証圃を設置して調査を行い、技術を確立した、また、農家、県の関係機関、宇和島市内の菓子舗、食品業者が連携し、加工技術について研究、さまざまな加工品を作出した。
 
(2)成果
 栽培部会では、①栽培(貯蔵を含む)上の問題点解明と対策技術の確立、②消費者・市場へのPR活動の推進の2つの柱を推進した。販売はJAを通して行うため、JAの生産組織として位置づけた。
 部会の年間行事については、5~8月の果実出荷時期に首都圏での販売促進を行い、6月に総会を、また随時三役会を実施して部会の運営検討を行っている。
 平成26年度からは、国の「新品種・新技術活用型産地育成支援事業」を活用して、栽培部会、JA、県、市、地元・県内の菓子舗・食品業者等14社と「宇和島・ブラッドオレンジ生産加工推進コンソーシアム」を設立し、生産拡大と(加工品を含めた)販売促進活動を推進している。
 関係組織が一体となって産地化を進めた結果、現在では栽培面積約26ha、生産量約200t、販売額が約7,000万円(平成28年度:栽培面積32.1ha、生産量340t、販売額1億2千万円)となり、全国の約90%のシェアを誇っており、オンリーワンの産地として知られるようになってきた。
 
(3)普及活動上の留意点
 組織(えひめ南ブラッドオレンジ栽培部会、加工技術研究会)の立ち上げと予算(県単、国補等)の獲得に中心的に取り組んだ。
 今後は、消費者から求められる安定した赤色果実の生産を確立し、果実・加工品のPR活動を行うことにより、販売チャンネルを増やし、農家経営の安定化を図りたい。
 
添付資料1
添付資料2
 
(2016年2月15日報告)
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