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大豆の青立ちを防ぐための技術対策  2010-05-31

●佐賀県農業試験研究センター 横尾浩明  

 
背景と概要(要約)
 九州北部の水田作大豆で、成熟が遅れ落葉せず茎に緑色が残る青立ちが発生し、汚粒の発生、収穫前の青立ち株除去、脱粒作業の別日処理など、品質低下や労働時間の増加をもたらしている。青立ちの発生は、従来からいわれているカメムシ類の加害によるものだけでなく、登熟期間の高温や土壌水分ストレスによると考えられるものも多く、害虫防除に加え乾燥などへの対策が必要である。
症状
 周辺株は落葉黄化しているが、青立ち株は落葉せず茎が緑色を帯びる。要因により次のように2分される。また、登熟初期に急速に萎凋枯死する急性萎凋症も青立ちの延長上として考えてもよいだろう。
 
(1)落葉せず茎が緑色を帯び着莢が極めて少なく、変形粒などの被害粒が多く見られる(図1)。ほ場内でランダムあるいは坪状に発生し、山麓部で多くみられる。また、茎や莢などの表皮にフタスジヒメハムシと思われる食害痕が見られる(図2)場合もある。
 
 
図1 大豆の不稔莢数率とカメムシ類による被害粒率
 
 
 
図2 青立ち株に見られたフタスジヒメハムシと思われる食害痕(原図:佐城農業改良普及センター)
 
(2)茎は緑色を帯びるが、前述した吸汁痕や食害痕はなく着莢は前述のものより多い。ただし、主茎、特に、上位3節までの着莢は少ない(表1)。この青立ち株は成熟が遅れるが、収量は健全株と変わらない。平成14年ころから平坦部で発生し、ほ場全面など広範囲に発生する。現地調査では生育量の大きい早播きで多いとされている。
 
表1 フクユタカに発生した青立ち株の特徴(2003)
 
注)
1.青立株は茎が緑色で葉は落葉しないで残る
2.佐賀市蓮池町現地(フクユタカ、7月8日播種)
3.**は1%水準で有意差あり、*は5%水準、nsは有意でない

 
(3)9月中下旬に、大豆の葉が急激に萎凋枯死するもので、上位葉が葉脈を残し黄化褐変し急速に萎凋し、葉はパサパサの状態となる(図3)。ほ場の一部に坪状あるいは条状に発生するが、ほ場全面の場合もある。
 
 
図3 急性萎凋症(左:葉の萎凋、右:発生状況、原図:佐城農業改良普及センター)
原因
(1)青立ちの発生は着莢の減少によるシンク・ソースのアンバランスが要因であり、茎葉養分の温存により茎葉の成熟が延伸し青立ちとなる。発生程度と1節莢数とは負の相関があり、1節莢数が1以下となると青立ちが発生しやすい(図4)
 
 
図4 1節莢数と青立ち
注)青立ち程度は、0:正常、1:茎色黄、2:茎色黄.葉残、3:茎色黄緑.葉残多、4:茎色緑.葉残、5:茎色緑.葉残多

 
(2)虫害では吸汁など加害により着莢が少なくなり青立ちとなる。なお、前述したフタスジヒメハムシによる着莢減少も疑われるようになった。
 
(3)登熟期間の高夜温で青立ちの発生が多く、高昼温では青立ちの発生はやや少ない(図5)。高夜温では、開花が早い主茎低次位花房の着莢割合が低くなり(図6)、成熟が遅れ青立ちとなる。
 
 
図5 登熟期間の気温と青立ち
注)平年気温:昼温31、夜温22℃
  高昼温40℃、高夜温30℃

 
 
図6 登熟期間の気温と着莢
注)
1.供試品種 サチユタカ
2.低次位花房着莢率とは0次および1次花房着莢の全花房着莢に対する割合

 
(4)登熟期間の乾燥(昼間、葉身が垂れる程度)や乾燥後の灌水による湿潤(地下水位30cm)で青立ちが発生する(図7)。なお、乾燥後の冠水など極端な条件では青立ちが助長され、前述した急性萎凋となる場合もあると考えられている。
 
 
図7 登熟期間の乾燥と灌水による青立ちの発生(2005)
注)
1.青立ち発生度は青立ち程度を加味した発生率
2.乾燥→湿潤は前半20日が乾燥(TDR10%以下)、後半20日は地下水位30cmの湿潤(TDR30%以上)
3.湛水/湿潤は、湛水5日後、湿潤
対策
(1)大豆の茎葉と根の生育バランスを崩さないため、極端な早播きは避け、過剰な栄養成長を防ぐ。
 
(2)中耕培土など排水対策により根圏の拡大を図り、土壌ストレス(干ばつ)に強い大豆を作る。
 
(3)干ばつによる落花、落莢を防ぐために畦面灌水を行う。ただし、速やかに排水を行い湿害による根粒菌や根の活力低下を防ぐ。(目安など詳細は今後検討が必要)。
 
(4)ハスモンヨトウの基幹防除には、鱗翅目対象のIGR剤の使用が多く、少発生年には、その後の臨機防除が行われないため、臨機剤で併殺されていたカメムシ類の被害が発生している。特に、これまで生息していなかったミナミアオカメムシの発生が見られるようになったことから、ローカル予察によって、発生状況を把握し防除を徹底する。
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