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暑さに強い夏秋スプレーギク県オリジナル品種の育成  2012-12-28

●鹿児島県農業開発総合センター 花き部 渡辺剛史  

 
背景
 鹿児島県のスプレーギクは、平成21年度の生産額で30億円と、愛知県に次ぐ全国2位で、本県の切り花生産額の4分の1を占める主要品目である。
 スプレーギクは開花特性から、秋~春にかけて生産する秋スプレーギクと、夏に生産する夏秋スプレーギクに分けられ、これらを組み合わせて周年生産が行われている。本県では、周年生産による平張施設利用率向上などの面から、北薩地域の本県西北部を中心とした夏季の露地産地だけでなく、沖永良部島の冬春季中心の産地からも6~9月を中心に開花させる夏秋スプレーギク品種の育成が求められている。秋スプレーギクを夏季に咲かせる場合には、シェードなどの短日処理が必要になるが、夏秋スプレーギクは限界日長が長いため、基本的にシェード施設は必要なく、耐暑性の面からみてもメリットは大きい。しかしながら、本来は暑さに強い夏秋スプレーギクでも、近年の地球温暖化に伴い、夏の高温時には開花が遅れ、品質低下や、お盆・秋の彼岸の需要期に計画的に出荷できない等、深刻な問題がおきており、産地からも耐暑性に優れた品種育成の要望が高かった。
 そこで、夏季の安定生産を図るために、暑さに強く、無シェードで計画的な出荷が可能で、かつ本県の気候風土に適した夏秋スプレーギク「サザンシリーズ」の品種育成を、平成13年度から県内産地と連携してすすめてきた。平成24年度までに29品種育成されているが、今回は「サザンシリーズ」4品種について紹介する。
品種特性概要
サザンペガサス(写真1、表1~2、図1)
 平成14年に、県育成系統を母本とした混合花粉交配を行い、季咲き~9月に有望系統を選抜、現地での評価試験を経て、平成19年度に品種登録出願を行った(品種登録 第19102号)。
 花は純白の緑芯、中輪のシングル咲き。花首の伸びをダミノジッド剤で抑えると良い。本県では、7~9月に無シェードで安定出荷が可能である。指宿市での季咲きは6月中旬である。
 
サザンペガサス
写真1 サザンペガサス
 
夏秋スプレーギク「サザンシリーズ」の主な特性
(クリックすると拡大します)
 
表1つづき
(クリックすると拡大します)
 
8月出しと9月出しの耕種概要
(クリックすると拡大します)
 
フォーメーション
図1 フォーメーション
サザングレープ(写真2、表1~2、図1)
 平成13年に、アモーレを母本とした混合花粉交配を行い、季咲き~9月に有望系統を選抜、現地での評価試験を経て、平成16年度に品種登録出願を行った(品種登録 第16688号)。
 花はピンクで、中輪のシングル咲き。到花日数が安定しており、生育の揃いも良い。母株生産性は良好で伸びが良い。花首の伸びをダミノジッド剤で抑えると草姿が改善される。本県では、7~9月に無シェードで安定出荷が可能である。季咲きは指宿市で7月上旬である。
 
サザングレープ
写真2 サザングレープ
 
 
サザンチェルシー(写真3、表1~2、図1)
 平成14年に、県育成系統を母本とした混合花粉交配を行い、季咲き~9月に有望系統を選抜、現地での評価試験を経て、平成18年度に品種登録出願を行った(品種登録 第17847号)。
 花はピンクのシングル咲き。草丈が伸びやすい。葉色が濃く、下枝が少ない。2L率が高く、生産性が高い。温度や日長による草姿の変化が少なく、7~9月に安定した品質で栽培できる。季咲きは指宿市で6月中旬である。
 
サザンチェルシー
写真3 サザンチェルシー
 
 
サザンマンゴー(写真4、表1~2、図1)
 平成17年に、県育成系統を母本とした混合花粉交配を行い、季咲き~9月に有望系統を選抜、現地での評価試験を経て、平成20年度に品種登録出願を行った(品種登録 第19943号)。
 花は濃黄色で緑芯、やや小輪。2L率が高く、生産性が高い。草丈の伸びが良い。季咲きは指宿市で6月上旬である。
 
サザンマンゴー
写真4 サザンマンゴー
 
(普及や種苗供給について)
 「サザンシリーズ」は品種登録されており、栽培には栽培許諾が必要である。今回紹介した4品種は、県外でも栽培可能な品種である。
 種苗は鹿児島県フラワーセンターで増殖し、母株用の苗が本県の生産者に配布されている。平成16年度~23年度に、県内で延べ1,000戸以上で栽培され、累計45万本以上の母株苗がフラワーセンターから生産者へ供給されている。
参考資料
・平成16、18、19、20年度鹿児島県農業開発総合センター花き成績書
・平成17、19、20、21年度鹿児島県農業開発総合センター普及に移す研究成果

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