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夏季のヒートポンプによる夜冷栽培で秋スプレーギクの切花品質が向上  2013-01-07

●鹿児島県農業開発総合センター 花き部 渡辺剛史  

 
背景と概要
 南九州地域の県本土南部における秋スプレーギクの夏季シェード栽培では、高温による開花遅延、花の小型化や桃赤系の花弁の退色等、品質低下が課題になっている。そこで、8月および9月出しシェード栽培(11.5時間日長)において、消灯後の冷房による低夜温管理(20℃設定)による切り花品質改善効果を検討した結果、高温による開花遅延や、花の小型化の改善、または桃赤系の花弁のアントシアニンの発色が向上した。
 
(ヒートポンプとは)
 大気や地中からの熱を圧縮機と膨張弁を使い効率よく移動させることによって、燃焼よりも効率的にエネルギーを得るシステムである(写真1)。ヒートポンプは、エアコンや冷蔵庫に多く使用されている。
 
ヒートポンプ
写真1 ヒートポンプ
症状(夏期高温の影響)
 秋スプレーギクでは、①開花が遅れ、需要期である盆前に計画的に出荷できない、②桃赤系品種の花色が退色する、③花が小型化する、などの影響がある。
原因
 夜間の気温が花芽分化や花芽発達の適温を超えることにより、開花遅延したり、花が小型化する。また、赤桃系花弁のアントシアニンの発色適温を超えることが、花弁の退色の原因になっていると考えられる。
対策
●秋スプレーギクの消灯後の低夜温管理区(20℃設定)は、対照区(無夜冷)と比較して、8月出し及び9月出しのシェード栽培(11.5時間日長)は、全体的に開花遅延が軽減される(図1~2、写真1)
 

 

 
●供試した32品種のうち、8月出しの消灯後70日までに開花した16品種、9月出しの18品種で比較すると、消灯後の低夜温管理は、対照区と比べ、8月出しでは63.7日から11.4日間、9月出しでは65.2日から6.8日短縮した(表1、写真2)
 
 
消灯後の低夜温管理による開花特性
(クリックすると拡大します)
 
8月出し及び9月出しの明期・暗期の平均施設ない気温
(クリックすると拡大します)
 

(クリックすると拡大します)
●低夜温管理によって、夏季高温期の花の小型化が軽減される(表1、写真3)
 
 

(クリックすると拡大します)
 
●低夜温管理によって、夏季高温期の草丈伸長が促進される(表1)
●低夜温管理にしても、夏季高温期の85cm重と有効輪数には影響がない(表1)
●低夜温管理によって、夏季高温期で舌状花のアントシアニン系の発色が濃くなり、発色が向上する(写真4)
 

(クリックすると拡大します)
 
(活用面・留意点)
●試験区のガラス温室内の消灯後気温は、8月出しでは、昼温(7:00~18:00)は約31℃、夜温(19:00~6:00)は約25℃、9月出しでは昼温33℃、夜温25℃の試験結果である。
●消灯後から開花までの期間中、シェード内をヒートポンプ式の冷房機を用いて冷房した。
●低夜温管理を行うと、花首も伸びる傾向があるため、わい化剤の使用方法や栄養生長期間の検討が必要である。
●低夜温管理の切花品質の改善程度は、品種間差がある。
参考資料
・平成21年度鹿児島県農業開発総合センター花き成績書
・平成23年度九州沖縄農業試験研究成果情報花き部門
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