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飼料タンク用換気装置を活用した飼料タンク内の温湿度抑制効果  2014-01-24

●香川県畜産試験場 酪農・肉牛担当 髙橋和裕  

 
背景と概要
 配合飼料の搬入の利便性を図るため、一般的に飼料タンクは畜舎周辺の屋外に設置されている。このため天気や気温によって飼料タンク内の温度や湿度は変化しやすく、特に夏季の飼料タンク内の温度や湿度は気温の影響を受け、大きく上昇する。このことから飼料タンク内に保管している配合飼料は熱や湿度の影響を受け、酸化や変敗などの変質が起こりやすくなるため、熱や湿度による影響の抑制を図ることが望ましい。
 そこで、飼料タンク内の温度や湿度の上昇の低減を図るために、自然の風を利用し、換気する飼料タンク用換気装置を飼料タンクに設置したところ、飼料タンク内の温度や湿度の上昇を抑制することができた。
症状
 気温によって飼料タンク内の温度や湿度が上昇すると、飼料タンク内に保管している配合飼料は、酸化や変敗などの変質が起こりやすく品質の劣化が誘引される。
原因
 気温の影響を受けて飼料タンク内の温度や湿度が上昇し、飼料タンク内の配合飼料の保存性が低下する。
対策
 飼料タンクに飼料タンク用換気装置を設置し、飼料タンク内の換気を促進し温度や湿度の上昇の抑制を図る。
具体的データ
 通常の飼料タンクと、飼料タンク用換気装置(写真1)を設置した飼料タンクのそれぞれのタンク内(上部および中部)の温度と湿度を1時間ごとに5日間測定した。この時の飼料タンク周辺の平均気温は24.2℃(最高31.1℃、最低15.8℃)で、平均湿度が55.6%(最高82.0%、最低28.0%)であった。
 
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写真1 飼料タンクに設置した飼料タンク用換気装置
 
 5日間測定した1時間ごとの飼料タンク内の平均温度の推移は、飼料タンク内上部が図1、飼料タンク内中部が図2のとおりであった。飼料タンク内上部温度は、夜間から早朝は気温と連動するように推移していたが、9時の飼料タンク内上部温度は気温より上昇し、12時から16時は、飼料タンク内上部温度と気温の差は15℃前後で推移した。飼料タンク内中部温度は、上部よりも低い温度で推移していたものの、昼間は気温よりも高い温度で推移した。
 
 次に、1時間ごとの飼料タンク内の平均湿度の推移は、飼料タンク内上部が図3、飼料タンク内中部が図4のとおりで、9時~16時を除いた時間の飼料タンク内上部湿度は、飼料タンク外の湿度より高く推移し、特に0時~5時の湿度は75%を超えていた。飼料タンク内中部湿度についても、飼料タンク上部湿度と同様に夜間は飼料タンク外の湿度より高くなる傾向で推移した。
 
 飼料タンクに飼料タンク用換気装置(以下「かざぐるまタンク」)を設置し、5日間測定した飼料タンク内の1時間ごとの平均温度の推移も通常の飼料タンク内温度と同様に、気温と連動する傾向で推移した(図1、図2)。しかしながら、通常の飼料タンク内の温度が上昇しはじめた11時、12時のかざぐるまタンク内温度は、上部、中部ともに気温とほぼ同程度の温度で推移し、12時以降の飼料タンク内温度も、かざぐるまタンク内の温度は、通常の飼料タンク内の温度よりも低い温度で推移した。
 
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図中の〓、-は飼料タンクとかざぐるまタンクとの温度の有意差を示す
(=:P<0.05、-:P<0.01)。
図1 飼料タンク内上部における1時間ごとの5日間平均温度の推移

 
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図中の〓、-は飼料タンクとかざぐるまタンクとの温度の有意差を示す
(=:P<0.05、-:P<0.01)。
図2 飼料タンク内中部における1時間ごとの5日間平均温度の推移

 
 次に、1時間ごとの飼料タンク内の平均湿度の推移は、19時のかざぐるまタンク内上部湿度は、通常の飼料タンク内上部湿度よりも14.6%低い状況で、かざぐるまタンク内湿度は、通常の飼料タンク内湿度よりも、特に夜間(上部では19時~翌朝7時、中部では18時~翌朝5時)は有意に低く推移した(図3、図4)
 
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図中の〓、-は飼料タンクとかざぐるまタンクとの温度の有意差を示す
(=:P<0.05、-:P<0.01)。
図3 飼料タンク内上部における1時間ごとの5日間平均湿度の推移

 
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図中の〓、-は飼料タンクとかざぐるまタンクとの温度の有意差を示す
(=:P<0.05、-:P<0.01)。
図4 飼料タンク内中部における1時間ごとの5日間平均湿度の推移
参考資料
高橋ら(2007)日本家畜管理学会報,43(3):147-153.
高橋ら(2007)香川県畜産試験場研究報告42号
上村ら(2007)香川県畜産試験場研究報告43号

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