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(長崎県)高温耐性新品種「なつほのか」の導入に向けた取組み  2019-02-08

●長崎県壱岐振興局農林水産部農業振興普及課   

 
(長崎県)現地事例情報
 
1.事例場所の概要
 壱岐地域は福岡県と対馬市との中間地点に位置する長崎県の離島であり、県内で2番目に広い平野を有する農業地帯である。
 主な作目は、産出額の過半を占める肉用牛をはじめ、水稲、葉たばこを基幹とした複合経営を主体に、アスパラガス・いちご・メロン・ミニトマトなどの施設園芸の産地化に取り組んでいる。
 水稲については約1,000haで生産され、その半数以上が高温耐性品種である。
 
2.活動対象及び概要
 平成8年に21世紀型大型圃場整備事業を実施した平坦部に設立した集落営農組織・法人15組織を活動対象とした。
 それら生産組織は米・麦を中心とした土地利用型作物が経営の主体であり、近年では水稲後作として加工用たまねぎ等の露地園芸作物の導入も進んでいる。
 
3.背景・指導・ねらい
 平成25年度には管内の普通期水稲面積約600haのうち、「にこまる」作付面積は522haまで拡大した。しかし、壱岐地域は県内でも北部に位置し、平均気温が低いことから秋冷えによる品質低下が要因となり、その後は面積の減少が続いている。それに対応するため、「にこまる」の移植時期を早め5月下旬としているが、麦との二毛作が多い平坦部においては、移植時期が遅れ登熟期が遅くなることから品質の確保が難しい状況である。
 そこで、高温耐性を持ち普通期水稲の早生品種である「なつほのか」の現地適応性を検討し、地域への普及を図った。
 
4.具体的データ
(1)情報の内容・方法・特徴
 現地適応性検討展示圃延べ4ヵ所(28年3ヵ所、29年1ヵ所)および肥料展示圃1ヵ所(29年)を設置し、生育・収量調査を実施した。また29年には推進対象に対して、栽培技術検討会や展示圃での現地検討会を実施し、品種特性の周知と次年度からの作付を推進した。
 
(2)成果
 「なつほのか」は同時期移植の「にこまる」と比較して出穂期で12~15日、成熟期で14日早かった。穂数はやや少なかったが、千粒重が大きく、収量は同等かそれ以上であった。また検査等級は上位等級となり全量1等であった。この結果から、「なつほのか」は壱岐地域での麦との二毛作地帯においても十分に収量・品質が確保できることが確認された。
 さらに、収穫時期が早くなることで、後作麦の圃場準備や播種作業の期間が長く確保され、麦の生産安定に対する効果も期待できる。
 上記の結果から、30年産の作付面積は約50haを見込んでいる。
 
(3)普及活動上の留意点
 管内普通期水稲の既存品種と比べ生育ステージが早く進むため、肥培管理等の適期を逃さなように栽培管理支援が必要である。
 生産者から水稲の省力化が求められており、29年度から「なつほのか」に適した基肥一発肥料の検討を始めている。30年度も引き続き検討し、適した肥料を選定する。
 
(2018年2月5日報告)
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